「失敗したけど良い経験になった」
こんな言葉よく聞きますよね。
いつも疑問に思ってました。
それって本当にいい経験なのか。
成功したよりいい経験なのかを。
だってよく考えてみると、
たとえば県予選で失敗して全国大会出れなくていい経験だったって言えるのは2年生(大学生なら3年生、社会人なら引退する1年前まで)ですよね。
なので、いい経験になったというのは
少なからず未来がある選手なら確かにそうなのかもしれないとは思います。
大事なのは
成功してもたとえ失敗しても
その経験をするために最善の準備をしたのか、ということなのではないかと。
というわけで前置きが長くなりましたが、先日行われた第28回日本トライアスロン選手権(2022/台場)で林愛望選手が見事史上最年少優勝を果たしました🏆
今回はレース内容ではなく、どんな準備をしたのかということを書こうと思います✏️
まず今回行われた日本選手権はオリンピックディスタンス(スイム1.5km バイク40km ラン10km)で行われ、年齢制限の関係から今年度に入って初めて挑戦できる距離であり、日本選手権に出場すると決めた時はまだ未経験でした。
そもそも普段の練習量も少ないし、珍しくちょっと長引いている故障中であったためどういう方針でいくか少し迷いましたが、とりあえずノンドラフティングのエイジレースに出場して2時間を超えるレースを経験しようという結論になりました。
結局、7月中旬から8月中旬までの丸1ヶ月故障で(その期間のあいだに陸上インターハイもあってどうしても出たいとのことで無理矢理出たけどもちろん全然結果は伴わず)、8月はインターハイ後2週間ほどノーランニングな日々が続きました。
ただ、バイク練はできたので、そこでバイクのボリュームを(ランしてないので疲労が増えることなく)少しあげることに成功しました。
故障が治ってからはランニングも徐々に増えていき、完治を確信した9月の頭から強度を下げてボリュームをあげていきました。
日本選手権に向けての練習量に関しての変化は
スイム 5-6h/週→維持
バイク 40km/週→60km/週(ローラー1回と外乗り1回)
ラン 30km/週→40km/週
こんなかんじです。少ないと思うかもしれませんがまだ高校生なんで。
スイムに関してはもう少し増やしたいのですが、駅伝シーズン中ということもありスイムの強化は後回しにして疲労回復を優先しています。
経験を積むためのオリンピックディスタンスのノンドラフティングレースとしては、まずは地元愛知県で行われる伊良湖トライアスロンを選択しました。ランが凄まじく起伏にとんでいるのでタフな経験ができると考えました。
結果は優勝、男子選手合わせても総合2位と素晴らしいレースでした。
選手にとっては初めての形式のレース、初めての長い距離、初めての場所、初めての補給、初めて尽くし。
1週間前に試走をしっかりしましたが、わざわざ来て試走するんだねと言われました。
そうなんです、ほかの練習もしたいのにわざわざ丸々1日をつぶして、そこに試走というスケジュールを入れて翌日をオフにしてまでやったのです。
なぜなら、試走をすることで落車の危険性も減り、良いパフォーマンスをする可能性も増え、そしてもちろんそれなら良い経験になる可能性も増えるから。
バイクコースがよくわからなくてうまく力が発揮できなかった→試走したら防げる失敗
バイクのノンドラで走りづらくてうまく走れなかった→ノンドラの距離確認練習で防げる失敗
ランのコースがきつくて、うまく力が発揮できなかった→試走したら防げるかもしれない失敗
ようは、いくつ失敗を減らせる対策をあらかじめ準備していくかなのかなぁと思ってます、たとえ失敗したとしても。その準備をした上での失敗は良い経験になる気がします。
これは今年の失敗レースを反省した上で思いました。
アジアジュニアトライアスロン選手権は初の海外レース、ただの経験でいいと思っていた。
インターハイはただの思い出でいいと思っていた。
そんな感じで指導者が準備をすれば
本人がいくら頑張れど自ずとそんな結果に。
申し訳なかったなと。
今年、トライアスロンのレースが本格的に再開され(高校に入ってここ2年間はコロナ禍の影響で1年に1,2回出場したのみ)、改めてトライアスロンと陸上の二刀流は難しいと思ったと同時に、やはり本当の意味での良い経験をするために、どちらもしっかり準備していこうと思いました。
たしかに二刀流は難しいけれど
誰も成し遂げてないからこそやりがいがあるし、
選手もそんな想いでやっているならなお良いなぁと思います。
話は戻って、伊良湖トライアスロンのあと、課題も見つかったのでもう1レースくらい2時間を超えるレースに出場したいなぁと思っていたところ、ありがたいことに伊勢志摩トライアスロンにオープン参加させてもらえる話をいただき出場させてもらいました。
時期的には日本選手権2週間前という回復が間に合うであろう最高のタイミングでした。
起伏が続くバイクコースのあとのきついランを経験できたことも、日本選手権に向けていい準備になりました。
そんなこんなで、初めての距離に対しての準備期間は故障していた関係で1ヶ月半と少し当初の計画より減ってしまい、日本選手権でいい順位がとれるかは未知数でしたが、準備してきた力は発揮できるだろうと思っていました。
最後の準備はレースプランの確認。
最高の展開、普通の展開、最悪の展開の3つを本人に言ってもらいましたが、どれも結果最高な展開になってて、なんとポジティブな選手だな、と。笑
まなみさんはレースプランや分析含め、自分のことは全部自分でできてしまうので指導者としてレースの準備でやることは車を運転して連れていくくらいしかないです。
高校生くらいだと、あれやった?これやった?とまだ確認しないとできない選手もいるんですが、そういうところも含めてアスリートとしての素質がありますね。
ただ速い選手ではなく、考えれる強い選手。
実際は、まだスプリントの距離を極めたわけではない高校生にオリンピックディスタンスなんて経験させなくてもいい気もしますが、まなみ選手は元々なぜ1500mでインターハイに行けたかわからないくらいスピードが苦手で、長い距離に適性があるタイプ。
今回無事日本選手権が終わったので、まだまだ苦手なスピードを磨いて、まずはスプリントの距離で海外選手と戦えるように強化していきたいな、と。
今シーズンは、日本スプリント選手権から始まり、U19選手権兼U23スプリント選手権、日本選手権兼U23選手権と国内レース負けなしの5冠と、結果だけ見ると成功したシーズンだなぁと思うかもしれませんが、練習や日常ではシーズンの3分の1から半分くらいは失敗だったりうまくいかない時期を過ごしています。
どの選手もそうだと思いますが。
そういう時期もいい経験になるように、毎回の練習、毎日の過ごし方にしっかり最善の準備をできるような選手、指導者になれれば一流ですけど自分たちはまだまだですね
今後もたくさん失敗の経験をすると思いますが、まずはそのときできる最善の準備を本人がして、そのサポートをしていけたらな、と思います
最後まで読んでいただきありがとうございました!